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  • 2010.06.18 Friday
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スタンダードの心地よさなら

評価:
本田竹曠,井野信義,森山威男
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
¥ 1,670
(2006-12-20)

1985年、下のマイ・ファニーバレンタインと同セッションで録音された
スタンダードピアノ作品。
下の作品との違いは、楽曲の処理の仕方だろうか。
マイファニーが楽曲を、本田流にして、トリオで円熟させているのに対し、
この作品は楽曲の良さを生かし、あまり本田色に染めていない。
トリオとしても円熟味というより、個々の技能をそれぞれ生かす感じになっている。
個人的な好みはマイファニーの方だが、
気分、コンディションに関わらず聴ける作品はこちらの方である。
スタンダードをスタンダードとして安心して聴きたい方には
この作品をおすすめする。

素晴らしい

評価:
本田竹曠,井野信義,森山威男
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
¥ 1,670
(2006-12-20)

1985年、森山威男等と作ったスタンダードピアノトリオ集。
一言、素晴らしい。
スタンダードをただなぞるだけで、本田流にモノにしてる。
トリオのまとまり充実感も充分あり、円熟した味がまた素晴らしい。
本田のスタンダード集で名高いのは初期の”THIS IS HONDA”で
あると思うが、あの作品の張り詰めた冷たい感じは、
この作品には存在しない。
初めて本田の作品を聴きたいという人には
この作品が一番のオススメである。
ON GREEN DOLPHIN STREET,MY FUNNY VALENTINE,
THE SHADOW OF YOUR SMILEと楽曲のセンスもいい。

恐怖から受容、悟りへ

本田竹広名義では最後の作品。
ピアノソロコンサート。二度の脳梗塞、その他アクシデントがコンサート前にあったが
ここでのピアノは壮絶なものと言えるだろう。
自分の命の残りを感じてか、恐怖と過去への情景を綴った演奏が繰り広げられる。
コンディションが良くなっていったのだろうか、
死を共にする、死を凌駕する、死を受容、悟る姿がピアノという楽器を通して
語られていく。重厚、ただ重厚なピアノサウンド。
キース・ジャレットが病気になる前、最後に作られたピアノソロ、”ラ・スカラ”を
対比する上で聴いているが・・。
本田の方が重厚かつ、命が削り取られていくような厳しさを感じた。
毎日聴くような作品ではない。
だが、人生を振り返る時、ふと聴きたくなるような作品だと思う。


ソウル・ジャズが原形か?

評価:
本田竹広,五十嵐一生,今出宏,臼庭潤,日野元彦,ポール・ジャクソン
BMG JAPAN
¥ 28,218
(2007-01-24)

本田竹広がフェンダーローズ・エレピに徹し1995年に作った作品。
ジャズファンクをターゲットに絞った作品と思われる。
メンバーは日野元彦、ベースのポールジャクソン、トランペットの五十嵐他。
僕が究極のジャズファンクということで想像するのは
1970年〜1971年のマイルス・コンボ。
キース・ジャレットのオルガンとフェンダーローズ、
マイケル・ヘンダーソンのモータウン仕込の本物のファンクベース、
そしてデジョネットのハードドラミング。
71年のヨーロッパツアー(正式盤では出てない)では
パーカッションをドン・アライアス、ムトゥーメイの二人を起用し、
”オン・ザ・コーナー”への布石を想起させるサウンドを提示。
この頃のマイルスのサウンドはヘビージャズファンク。
この頃のマイルスのサウンドと本田のサウンドには隔絶した差がある。
本田の作品に黒人独特の粘っこさがないのだ。
ブラックファンクというより、
ソウルジャズ→ジャズロックの系譜、
リー・モーガンの”サイドワインダー”あたりの軽快なサウンドに近い感じがする。
五十嵐も検討している、日野元彦の2曲目のシャッフルビートは
マイルスのジャックジョンソンを思わせるものだ。素晴らしい。
もっとディープな黒さがあれば、五★をつけたかった。
やや軽快なノリが個人的にのめり込めない理由である。

事前情報とは大きくことなるピアノトリオ

評価:
辛島文雄,鈴木勲,ジミー・ホップス
P-JAZZ
---
(2001-02-21)

辛島文雄の1975年のデビュー作品。
あらゆる和ジャズ、スピリチュアル本では”日本の最高のスピリチュアルジャズ作品”と
言われていたので聴いてみたが・・。
一言、伝統的なハードバップの影響を受けたピアノトリオ作品といえるだろう。
1975年というと、
あらゆるピアニストがマッコイ・タイナーの影響を受けているが
辛島はあえてそこを避けて、レッド・ガーランド、ウィントン・ケリーの影響を
感じさせるような端正なプレー、タッチで演奏をしている。
ハードバップ系黒人ピアニストの影響が強いといえる。
正統派ハードバップジャズという、売り文句で発表した方がいいのかもしれない。
スピリチュアルという点では本田竹広の”浄土”、”サラーム・サラーム”の方が
ベクトル的に合っている作品と言えるだろう。


時代の変わり目をクールに描く

評価:
佐藤允彦トリオ
インディペンデントレーベル
---
(2006-02-23)

佐藤允彦の代表作といっていいだろう。
富樫雅彦等と制作したピアノ・トリオ作品。
1969年発表当時は高く評価され、スイング・ジャーナル大賞をもらっている。
一般的には富樫がいるということでフリーを思い描く方もいると思うが・・。
一言、クールな現代音楽感覚を取り入れたジャズ、とでもいえよう。
佐藤は山下洋輔のようなピアノ鍵盤の乱打をする訳でなく、
白いスケッチ用紙に色をゆっくり重ねていくように、空間の合間を縫って
音を形成させる。
富樫は通常の4ビートも叩くが、
ある種パーカッション、打楽器的なアプローチで、サウンド構成に加わる。
静かなフリー、冷静なフリーともいえる作品である。
自分が冷静になりたい時には向いている作品だと思う。
フリージャズの荒々しい刺激を求める人には不向きな作品であろう。


最高のスピリチュアル・ピアノトリオ作品

評価:
本田竹曠,ジュニア・ブース,エリック・グラバット
ユニバーサル ミュージック クラシック
---
(2002-09-25)

本田の最高作だろう。日本のピアノトリオの作品でも歴史的に残る作品だろう。
1974年、エリック・グラバッド、ジュニ・ブースの3人で作り上げた音の結晶。
3人がぶつかりあい、衝突し、この世で最高に美しい精神的な華を咲かせる。
魂と魂のぶつかり、戦い。それ以上の何が言えるだろうか?
過去ピアノトリオのガイドブックを読みピアノトリオを集めてきたが、
この作品がベストだ。
これ以上の作品には当分出会えないと思わせる程、魂を高揚させてしまう
作品。

メンバーは一流。作品は・・・・

評価:
日野皓正,ジョン・スコフィールド,ロン・カーター,トニー・ウィリアムス
ビクターエンタテインメント
¥ 2,475
(2009-02-25)

1977年の録音。メンバーはジョン・スコフィールド、トニー・ウィリアムス、ロン・カーター。
日野の数ある作品でも最高リストのメンバーと思う。
ジョン・スコが後のマイルスバンドで見せた”変態フレーズ”を
発しているわけでなく、クリーンなトーンでクールな表情を作りあげる。
このメンバーであれば、大バトル、個人技のぶつかりあいを期待したが
サウンドは4ビートを基本としたもの。
トニーは殆どスネアを連打することなく、
正確にリズムキープをすることに徹しているようだ。
ロン・カーターも然りである。
日野の楽曲はスピリチュアルに満ち溢れたもので見事であるが
バック陣との詰めが甘かったのか、インタープレイはない。
当時、ハンク・ジョーンズ、トニー・ウィリアムス、ロン・カーターが作った
グレイト・ジャズ・トリオ、またそれをバックに渡辺貞夫が作った
”アイム・オールドファッション”に比べると覇気がない。
ただ、迫力だけがジャズではない。
端正な現代的4ビートスイングサウンドを表現している。
正当ジャズが好きな方には向いている作品だといえよう。

アンビエント・ファンク

日野皓正の作品の中で長らく廃盤でリィシューが待たれていた大傑作。
レア・グルーブ、クラブジャズからの評価が以前より高かったが、
アナログ、CDともオークションにも出回らない状態。待望のリリース。
1977年録音であり、日本のジャズシーンが
フュージョンに一色になる寸前の作品。
良質のジャズ・ファンク作品に仕上がっている。
冒頭のヒップ・シーガルのアレンジはMILESの”イン・ア・サイレント・ウェイ”から
影響を受けたアンビエント的なもの。
徐々にベースの低いジャズファンクに変貌していく
途中の4ビートに変調するところも良いアレンジ。
峰厚介が最高のサックスプレーを聴かせる。
作品の中にはショーターで有名な”ファール”の新アレンジのナンバーもある。
笠井紀美子がお洒落なスキャットを聴かせる。
大人のためのジャズファンクロック作品だ。
 

隠れた日本の才能

評価:
武田和命,山下洋輔,国仲勝男,森山威男
ユニバーサル ミュージック クラシック
¥ 2,210
(2009-06-24)

 武田和命。名前を知るものは少ないだろう。
1960年代半ば、幻の富樫雅彦が初めて作ったフリージャズコンボの
サックス奏者。
1969年からはジャズシーンから姿を消したが、
1970年代後半に旧友山下洋輔のコンボに加わり活動再開。
1979年に唯一のソロ作そして遺作となったこの作品を残す。
作品は実に素晴らしい。
武田はソニー・ロリンズのファンだったらしいが、
彼のテナーの音はジョン・コルトレーンに近い感じがする。
ただコルトレーンが内包していたような重さがなく、
爽快にスタジオのキャンバスに音の絵画を作る。
ロリンズの影響が、コルトレーンから重さを無くしたサウンドを形成したのだろう。
この時の録音メンバーは山下洋輔、森山威男等。
バックも実にリリカルなリラックスな上品な世界を作りだしている。
大人の上品な夜を演出するには最高の作品だ。
実に素晴らしい作品である。

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